いろいろな白内障手術

毎週火曜日の午後は、白内障手術をメインに、硝子体手術、緑内障手術などのいろいろな内眼手術を、10〜15件程度行っています。

昨日は、白内障手術13件、抗VEGF抗体の硝子体内注射1件を行いました。
その中で、珍しいというか大変だった白内障手術の感想をお話したいと思います。

(真っ白&ぐらぐら&カチカチ編)
眼軸長30mm以上の高度近視眼の、Emerry-Little Grade 5、急性緑内障発作を起こしている白内障手術。
比較的散瞳良好で、粘弾性物質での前房形成もできたので、インドシアニングノグリーン(ICG)で前のう染色し、前のう切開もcompleteに出来ました。あとは、超音波100%でPEAするだけで、楽勝か?と思っていました。ところが、Phaco chop法で、PEAを行い始めたところ、上方のチン氏帯の断裂が判明、Capsular Tension Rign(CTR)をのう内に挿入し順調にPEAを行い、水晶体の核があと一片というところで、今度は器械(当院ではAlcon社のアキュラスを使用。)の吸引がストップしました。硬い核の白内障手術では、ハンドピースが詰まるということが時々あるので、ハンドピースを交換して再開しましたが、それでも全く吸引がかからず、ドレインバッグと吸引ラインを丸ごと交換し、吸引復活。その後は順調に手術終了となりました。ちなみに挿入した、眼内レンズ(IOL)は-1.0DのメニスカスIOLで、僕はIOL度数が、0やマイナスでも解剖学的構造保持の為に、必ずIOLを入れるようにしています。

(ぐらぐら編)
白内障&水晶体動揺している白内障手術。
手術前のプランでは、IOL sulcus fixationは必要だろうけど、水晶体の処理は、可能な限り4mm切開で前から行おうと思っていました。
ところが、開瞼器かけ、手術顕微鏡をのぞいた瞬間、この甘い思惑は崩れ去りました。
そこで、最初からPEAは断念し、ICCEに変更して手術を行いました。
IOLをsulcus fixationした後に、anterior vitrectomyにて、脱出した硝子体を処理し、問題なく手術終了しました。

(見えない&がちがち編)
角膜混濁にて眼内の透見不良で、これまたEmerry-Little Grade 5の白内障手術。
手術顕微鏡の照度を上げて、何とか前のう切開はcompleteに行うことができました
(当院の手術顕微鏡はドイツのZeiss社製のVISU160を使用しておりますが、伊万里院のLUMERA-Tだったら楽勝だったと思いますが・・・)。その後は上記のがちがちな症例と同様に、Phaco chop法にて水晶体を処理し、無事手術を終了しました。


僕は、武雄市伊万里市を中心に、佐賀県の南部医療圏と西部医療圏で診療を行っておりますが、いまだにかなりの頻度で、このようながちがち、ぐらぐらなどの白内障の難症例を手術しています。
このような白内障手術を行う際は、前記のCTRやICGなどの小道具や、硝子体手術を行える設備、技術が必要になります。
幸い、僕は硝子体手術を専門としてますので、あまりストレスなく?手術を行っていますが、今後もこのような症例は増えるだろうなーと思ってます。
このような、症例にも対応できるように、常に医療機器や心の準備をした上で、手術を行っていこうと思います。
昨日はさすがに13分の3の的中率で、少々疲れました・・・。